社会医療法人 北九州病院 北九州八幡東病院

当院の取組み

口腔ケアと清潔ケア

口腔ケア(口腔衛生)

口腔ケアおよび口腔機能の維持・向上への取り組み

1.口腔ケア(口腔衛生)の推進

入院患者さんの口腔内状況を口腔機能アセスメントにより評価することで、適切な口腔管理へつなげています。その情報を基に患者さんの食べる、話すなどの口腔機能の維持・向上や誤嚥性肺炎などの感染症予防、栄養状態の改善を目的として口腔ケアを行っています。

2.医科・歯科連携体制の構築

当院では、医科・歯科連携を図ることで、口腔ケアの質の向上へつなげています。患者さんの口腔内状況において、う蝕の長期放置、動揺歯、義歯の不適合による潰瘍など多くの問題がみられます。これらの問題を早期に歯科治療へつなぐことで、患者さんの健康を包括的にサポートしています。
《訪問歯科医療機関:八幡歯科医師会、黒崎歯科医院、おおくら歯科医院、公立大学法人九州歯科大学》

3.摂食・嚥下障害への取り組み

口の中の食べ物を”ごっくん”と食道へ送り込むことを「嚥下反射」といい、この嚥下反射がうまくできなくなることで、食べ物が気管に入ってしまうことを「誤嚥」といいます。加齢や疾患などで飲み込む力が低下し、“嚥下障害”になるといわれています。当院では、摂食嚥下障害の方を対象に内視鏡下嚥下機能検査(VE検査)を公立大学法人九州歯科大学にて実施しています。
VE検査とは、安静時、嚥下時の咽頭・喉頭の動きを観察する検査のことで、嚥下障害の可否や原因を精査します。その結果をふまえて、今後の食事形態や食事時の姿勢の調整などの提案を行っています。

4.NST活動への参加

歯科専門職として口腔の状態や咀嚼嚥下などの口腔機能の情報提供を行い、多職種で栄養状態の改善を目指し、取り組んでいます。

介護医療院における義歯使用状況(対象者:2,018人)

北九州八幡東病院介護医療院「口腔衛生管理加算資料」(参照2022/4/1-2025/3/31)
年齢 2022 2023 2024
男性 女性 男性 女性 男性 女性
70~79 32.5% 21.2% 23.2% 6.4% 20.8% 1.0%
80~89 37.5% 28.8% 46.4% 52.1% 32.1% 44.6%
90~99 30.0% 50.0% 30.4% 41.5% 47.2% 54.5%

介護医療院における残存する歯の本数(対象者:2,018人)

北九州八幡東病院介護医療院「口腔衛生管理加算資料」(参照2022/4/1-2025/3/31)
年齢 2022 2023 2024
男性 女性 男性 女性 男性 女性
60~69 27.0 14.1 27.0 17.7 0 21.2
70~79 22.0 12.6 21.2 5.8 16.4 9.1
80~89 10.7 14.5 9.4 13.7 12.2 15.7
90~99 6.2 8.5 9.3 9.7 12.8 10.1

清潔ケア

療養型病院では、病気や障害などにより自分自身で体を清潔に保つことができない方が多く入院されます。このような患者さんに対し清潔ケアを行うことで、皮膚や粘膜、毛髪などの汚れを取り除き、清潔に保つことで感染の予防にもつながります。また、皮膚の状態(褥瘡発生の有無)に加えて全身の状態を観察するよい機会となります。
清潔ケアは、体の働きを整え、患者さんの自然治癒力を発揮させるためにも、欠かすことのできない重要な看護です。
清潔ケアには、入浴、部分浴(手浴・足浴など)、清拭、陰部洗浄、オムツ交換などがあります。
患者さんの状態に合わせたケアを選択できます。

当院は、入浴時に昇降式シャワートロリーを使用し「トロリー浴」を実施しています。

トロリー浴の紹介

「トロリー浴」とは、やわらかいマットの上に寝ていただき、スタッフがシャワーをかけることで、暖かいシャワー入浴を楽しむことができる入浴方法です。座っている姿勢を保つのが難しい方などが利用します。

特徴

  • 寝たままの状態でシャワー浴ができるため、介助者も入浴者も負担が少ない
  • 高さ調節機能があり、ベッドからの移乗が容易
  • サイドレールやピローで体を安定させ、安心感も得られる
  • 傾斜角度を調節できるため、リラックスした姿勢で入浴できる

メリット

  • 寝たきりの方や、自立度の低い方の入浴をサポートする
  • 介助者の負担を軽減する
  • 感染症予防に役立つ
  • 褥瘡(床ずれ)や皮膚異常の早期発見に役立つ

種類

  • 昇降式シャワートロリー
    高さ調節が可能で、ベッドからの移乗が容易
  • シャワートロリー
    電動で昇降可能、背上げもできる
  • リフトトロリー
    昇降式で、ベッドから移乗しやすい高さまで調整できる